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ぼくとう綺譚。

さっき、漫画家の赤塚不二夫さんの訃報を見た。子供の頃、夕方になると東京12チャンネルで再放送されていた天才バカボンを見るのが楽しみだった。晩酌中の父親と一緒に見て笑っていたのを思い出す。大人になってからは、天才バカボン6巻箱入り漫画を買い、時々出してきて読むのが楽しかった。今回フランスに来る時には、おそ松くんの漫画も持ってきた。熱烈なファンというわけではないが、水木しげると赤塚不二夫という二人の漫画家の作品は私の生活には欠かせぬものである。まぁ、人はいつかは死ぬものであるから仕方ないけれど、やっぱり赤塚さんのような漫画家はもう出てこないんだろうな~と思うと寂しい限りである。

昨日は、朝寝坊をしたせいか、夜になってもなかなか眠くならず、久しぶりに永井荷風の本を読み始めた。この人も、身近にいたら煩そうなタイプの変人と思われるが、有名な”ふらんす物語”は何度読んでも面白く、何とも言えない寂しさというか虚しさというかそんな気分にさせられるのがまた良いのだ。彼の作品は、フランス語の翻訳が何冊か出ており、既に見つけて購入済みの”墨東綺譚”を今回は日本語で読んでいた。この墨という漢字には、本当はさんずいが付いている。江戸時代の文人が、墨田川の墨に勝手にさんずいをつけたという字なので勿論辞書には載っていない。

この本中、”作者あとがき”というのか、そういう文章が添えられており、昔の銀座の様子であるとか、当時の流行であるとかが書かれており大変興味深いのだが、そのなかで、アイスコーヒーについてふれている部分がある。永井荷風は、いくら暑い季節でも氷水以外の冷たいものは口にしないという。その冷水さえもなるべく避け、熱いお茶かコーヒーを飲むというのだ。家の母も(永井荷風と家の母を一緒くたにするのは失礼な話だが)、暑いからといって冷たいものをガブ飲みしたり、やたらとアイスを食べたりすると腹をこわすだけだと常々言っており、いつでも熱い緑茶を飲んでいるのを思い出した。

コーヒーというのは西洋から伝わったものであるが、その西洋人はアイスコーヒーなどというものは飲まないのだ。確かにこの国でもシャレたカフェで数回アイコーを見かけたような気もしないでもないが、コーヒーといえば99.9%以上の確率でホットと決まっているのだ。何故アイスコーヒーが西洋には存在しないのか?という永井荷風の説明が本当に分かりやすい。コーヒーというのはアロマを楽しむもので、冷たくしてしまえばその香気は全くなくなってしまう。それゆえ西洋人はわざわざ冷やして香りを飛ばすことなどしないということだ。西洋文化にも精通していた永井荷風にしてみれば、自慢げにアイスコーヒーを飲む日本人がアホっぽく見えたことだろう。確かにそうだよな~とつくづく思いながらも、ダメ人間の私は”そういえば久しぶりにアイスコーヒー飲みたいな~”と思ったのであった。

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